こんにちは。みにまるです。
この記事では金財FP1級学科試験の基礎編や応用編の計算問題でよく出題される投資信託の「収益分配金の手取金額」の計算問題について解説して参ります。
もう定番問題なのでこの問題を基礎編で見たら「確実に解けないといけないサービス問題」だと思ってください。
でも「解けない、間違える💦」という方、大丈夫です。過去問のパターンを把握すれば難なく解けますので、ご安心ください。
投資信託についての基本の知識
この収益分配金の計算問題では特別分配金と普通分配金を求めることになります。特別分配金があるのは「公募追加型株式投資信託」(いつでも買える)であることに軽くご留意ください。「単位型投資信託」(最初に設定された期間内でしか買えない)では特別分配金はなく全て普通分配金になります。
基準価額=純資産額(資産総額)÷受益権総口数×10,000
基準価額は通常1万口当たりの価額
出典:基準価額と分配金 基準価額とは? | 読んで明解!投資信託のキホン | お金を育てる研究所
投資信託の純資産総額には投資家の投資金額を運用して得た運用益などの収益が含まれます。そこから分配金が支払われるので、分配金の分だけ基準価額は下がります。株式の配当落ち(株価が下がる)のような感じですね。
出典:分配金は2種類あるの? | しっかり考えたい。分配金のこと。 | お金を育てる研究所
分配前基準価額-分配金=分配後基準価額
特別分配金(元本払戻金)=(分配前)個別元本-分配後基準価額
普通分配金=分配金-特別分配金=分配前基準価額-個別元本
(全部の分配金のうち特別分配金以外が普通分配金。もしくは分配(落ち)前基準価額から個別元本を引いた額が普通分配金と考えても同じです。)
特別分配金は元本に対する払戻であることを意識しよう!分配後基準価額が個別元本(取得費・投資した額)を下回った場合はその元本に対する払戻金(特別分配金)は払い戻ししているだけで利益ではないので、非課税となります。
収益分配金の手取金額の計算方法(3ステップ)
金財FP1級学科試験2019年9月基礎編問23より(私はきんざいのFP技能士センターの正会員のため承諾無しで過去問利用ができます)
【ステップ1】 資料の分配金実績の推移に基づき個別元本の図示をする(お絵かき)。分配後基準価額が個別元本より大きいか小さいかに注目して、個別元本がそのままか減額されているか確認する。
【ステップ2】 課税時の分配金のうち、普通分配金と特別分配金の内訳を求める。(A.全て普通分配金のとき、B.普通分配金と特別分配金があるとき、C.全て特別分配金のときがあります)ここではとりあえず特別分配金を計算します。
特別分配金=(分配前)個別元本-分配後基準価額
普通分配金=分配金-特別分配金=分配前基準価額-個別元本 (普通分配金は、分配金全体のうち特別分配金の残り)
【ステップ3】
税金(所得税および復興特別所得税、住民税)=普通分配金×20.315%
手取金額=全ての分配金ー税金
分配金のパターン
分配金には以下の3パターンで分配されます。
A. 個別元本<分配後基準価額→全て普通分配金 (特別分配金=個別元本-分配後基準価額がマイナスになるので特別分配金はないと考える)
B.個別元本>分配後基準価額かつ個別元本<分配前基準価額→特別分配金と普通分配金両方がある
C.個別元本>分配後基準価額かつ個別元本>分配前基準価額→全て特別分配金
パターンBの特別分配金と普通分配金両方がある場合を基準に考えて、赤い矢印線の分配後基準価額が個別元本より上にあるか、下にあるかに注目してみてください。
長々と計算方法のステップとパターンを書きましたが、実際に私が解くときには特別分配金(元本払戻金)=(分配前)個別元本-分配後基準価額だけを考えています。特別分配金を出して分配金合計の残りが普通分配金なので、その値のプラスマイナスを見れば問題は解けます。
過去問の解答解説
投資信託の過去問の上記パターンを網羅的にピックアップしました。私はこういう風に解いています。必要な方は解き方の一例としてご参照ください。
問23 収益分配金の手取金額 2019年9月学科試験|FP1級ドットコム
問23 収益分配金の手取金額 2022年5月学科試験|FP1級ドットコム
問22 投資信託の収益分配金 2018年9月基礎【1級FP過去問解説】
おまけ:同一銘柄の投資信託を複数回に分けて購入した場合
問22 収益分配金が支払われた後の個別元本 2017年1月学科試験|FP1級ドットコム
この場合は同一銘柄の株式を複数回購入している場合と同様に、個別元本は「総平均法」(問22 収益分配金が支払われた後の個別元本 2017年1月学科試験|FP1級ドットコム穴埋め問題で出題)で個別元本を計算します。