FP1級シケタイ委員会

年金の額などは22年試験用(22年4月基準)に合わせています。2022年FP1級学科試験に向けての試験対策をまとめています。

本ブログは2022年試験用に書かれています。2023年9月試験の法改正、年金額には対応していないのでご考慮の上お読みくださいませ。

noteのまとめはこちら。(事業承継税制や法人の税制優遇など)

FP1級基礎編 計算問題ドリルはこちら。

FP1級資料スライド一覧はこちら。

FP協会実技 論述問題まとめ

論述問題のまとめです。自分なりに解答を作りました。
この記事は私が「スマホでゴロゴロしながら勉強する」ために作っています。ちゃんとした模範回答はFPKの緑本をご参照下さいまし。

参考文献:FP協会会員ページ(FP総論)
1級FP技能検定 実技試験(資産設計提案業務)精選過去問題集 2022年版
FP協会模範回答(FP協会会員のAFPのため、過去問等は無許可で利用可能)

1. 個人情報保護法(改正点含めて)

個人情報保護法における個人情報とは個人を識別しうる氏名・住所・生年月日などを指すが、メールアドレスや会員IDなど他の情報と容易に照合できそれにより特定の個人を識別できる情報も含まれる。FPが業務を行うにあたっては以下の点に留意しなければならない。
1) 個人情報を収集取得する際は利用目的を明示し同意を得る
2) 顧客の個人情報は施錠できる収納庫で保管する、コピーやFAXは行わない、デジタルデータは暗号化する、利用が終了したデータはシュレッダーで破棄するなど安全管理措置を講じその内容を顧客に明示する
3) 顧客から個人情報の管理について苦情があった場合は迅速かつ適正な処理を行う
4) 顧客の個人の権利利益を害する重大な情報漏洩が発生した場合は個人情報保護委員会に報告し、顧客本人に通知する
5) 顧客から個人情報の提供を求められた場合は顧客の指定する方法で提供する

2. 金融サービス提供法の金融サービス仲介業

金融サービス仲介業とは1回の登録で銀行・証券・保険のすべての分野のサービスを仲介できる業態である。この改正により仲介業者の登録にかかる負担が軽減され、IT技術の進展と顧客ニーズの多様化に応えるような、多種多様な金融サービスのワンストップ提供が可能となり顧客の利便性向上が期待される。金融サービス仲介業者が提供可能な商品は仲介にあたって高度に専門的な商品説明を必要としないと考えられるものに限られる。所属制が廃止され仲介業者自身が顧客に対する損害賠償責任を負いその資力に備えるため保証金の供託が義務付けられる。金融サービス仲介業者は仲介業務に係る重要事項の説明義務が課され、仲介手数料報酬等の制限はないが、その額を顧客に明示する必要がある。

金融サービス提供法:(基本)
金融サービス提供法の保護対象は金融商品販売業者の顧客である個人及び事業者である。下記の義務を違反した場合、顧客は販売業者に対して損害賠償請求をすることができる。
① 元本割れや当初元本を上回る損失が生ずる価格変動リスク、権利行使期間の制限や解約期間の制限などの重要事項の説明義務違反があった場合
② 必ず儲かるなどと断定的判断の提供禁止に反した場合
重要事項の説明は「適合性の原則」により顧客の知識・経験・財産の状況・購入目的に照らして、顧客に理解されるために必要な方法・程度で行う。
立証責任は原告にあるが、原告は販売業者が重要事項を説明しなかったこと、被害発生の事実を示すのみで損害賠償請求ができ、元本欠損額をその損害額と推定することにより原告の立証負担の軽減が図られている。(326文字)

3. 金融商品取引法

適合性の原則とは、金融商品取引業者は顧客の知識・経験・財産の状況・投資目的に合った商品を勧誘・販売しなければならないという原則である。顧客属性に照らして不適切な商品は勧誘販売してはならない。安全な投資を望む顧客に対してリスクの大きい商品を勧める、余裕資金のない顧客に対して当初元本を上回る損失が発生する恐れのある商品を勧めるなどが適合性の原則に反した行為の典型例である。
また販売勧誘してもよい商品であっても、金融商品取引業者は顧客の適合性に照らして顧客に理解されるために必要な程度・方法で重要事項の説明義務を果たすことが求められる。

4. 消費者契約法(消費者の範囲、契約の取り消し事由、無効となる契約条項)

消費者契約法における消費者とは契約を行う個人を指し、法人や個人事業主など事業ために契約する事業者を除くものをいう。以下の行為で事業者は消費者を誤認・混乱して契約させた場合、契約の取り消し事由となる。
1) 不実告知(重要事項について事実と異なることを告げる)
2) 断定的判断の提供(必ず儲かるなど不確定な事項を確実だと告げる)
3) 不利益事実の不告知(消費者に不利益に事実を故意に隠し告げない)
4) 不退去(訪問先に居座る)
5) 退去妨害(勧誘場所から消費者が帰ることを妨げる)
6) 過量な内容の契約(高齢者の判断能力の低下につけ込んで不当に大量な商品を購入させる)
一切の契約解除・取り消しや返品・交換に応じない、事業者が損害賠償責任を一切負わないなど消費者に不利益な内容の契約書の条項は無効となる。

5. 金融ADR制度

金融商品サービスの多様化、オンライン化などが進む中で金融機関と利用者のトラブルが増加している。そうしたトラブルを裁判以外の方法で解決を図る制度が金融ADR制度である。金融機関は銀行・証券・保険の業態別に金融庁が指定・監督する紛争解決機関を設置しており、金融分野に関する見識をもつ弁護士等の中立公正な専門家が紛争解決委員として利用者からの苦情を受け付ける。
紛争解決の申し立てを受けた場合は紛争解決委員は双方の主張を聞き仲裁を行い、和解案を提案し、解決に努める。金融ADR制度は裁判と比較して、低コスト短時間でトラブルの解決を図ることができる。

6. 著作権法(引用の要件)

著作権法上の著作権とは思想または感情を創作的に表現した著作物の著作者の財産的利益を保護する権利である。著作物とは書籍や新聞記事、映像、図画などであり、著作権者以外の者が著作物を流用する場合は原則著作権者の利用許諾が必要となる。FPが原稿やセミナースライドなど業務で著作物を利用する際には著作権法に違反しない引用の範囲内で使用するよう、以下の点に留意する必要がある。
引用の要件:
1) (批評または報道、研究のために)引用する必要性があること
2) 引用部分を鉤括弧で囲むなど引用部分と自分の表現である本文との区別を明確にする
3) 引用部分と本文が主従関係であること
4) 引用元の著作者名・出典を明記すること(298文字)
なお、法令・判例・通達などには著作権がないので、自由に転載することができる。

7. 税理士法(3つの事務、業として、税理士法に違反しないため留意点)

税理士法では他人の求めに応じて1)税務代理 2) 税務書類の作成 3) 税務相談を行うことを税理士業務として規定している。業として行うとは、上記の3業務を反復継続して行うまた反復継続の意思をもって行うことを言い、有償無償かは問わない。税理士法ではこれらの税理士業務を税理士または税理士法人以外の者が業として行うことを禁止している。税理士資格をもたないFPが顧客からの個別具体的な税務相談に意見を述べたり教示すると税理士法に抵触する恐れがある。顧客からの税に関する相談には税制や納税についての一般的な説明に留め、必要に応じて税務相談や税務代理に関しては税理士に回答を依頼したり、顧客に税理士を紹介するなど税理士法に抵触しないよう留意する必要がある。(320文字)

8. 金融商品取引法における「投資助言・代理業」「投資運用業」とは

金融商品取引法は、有価証券の価値または金融商品の価値などの分析に基づく投資判断に関し助言を行うことを契約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約を「投資顧問契約」とし、この契約に基づいて助言を業として行うまたは投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介を行うことを「投資助言・代理業」としている。投資助言・代理業、投資運用業は登録業者以外行うことはできない。投資助言・代理業の登録を受けていないFPは顧客への個別具体的な投資助言は避け、資産運用に関する基礎知識や投資目的・期間にあった商品選びやポートフォリオの考え方など一般的な説明や、市場の動向や企業実績など投資判断の基礎となる資料の提出に留める必要がある。(311文字)

また同法では、投資一任契約を締結しこの契約に基づいて金融商品の価値分析を行い金銭などの運用を業として行うことを「投資運用業」としている。

9. 保険業法(300条の禁止行為 意向把握と情報提供)

保険業法第300条では保険契約の締結または保険募集の際に。
1) 虚偽の説明
2) 重要事項の不告知
3) 顧客に不告知を勧める
4) 顧客の告知義務履行を妨げる
5) 特別利益の提供
6) 不当な乗換募集
7) 不当な比較表示
などの行為を禁止している。2016年5月施行の改正保険業法では意向把握と情報提供が義務付けられた。意向把握義務とは顧客のニーズを把握しニーズにあった保険商品を提案し、顧客のニーズと提案プランが合致しているか最終的な確認を行うことをいう。情報提供義務とは顧客が保険加入の適否を判断するにあたって必要な情報を提供することや、複数社の保険商品を比較説明・推奨販売するときは偏りなく比較可能な商品一覧を示した上で推奨理由をわかりやすく説明することなどをいう。(326文字)